猫がフラッシュで失明するという都市伝説について調べてみた : アニメで犬ばかり見てるアニメで犬ばかり見てる

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    猫がフラッシュで失明するという都市伝説について調べてみた

    • 2017/06/10
    2017y06m10d_014058712.jpg


    TwitterやFacebookを使っている人達の中で、特に猫好きな人達はこんな話を聞いたことがあると思う。

    要注意!猫にフラッシュ撮影をしてはいけない理由
    https://matome.naver.jp/odai/2139239803013052301


    「猫の目にカメラのフラッシュを当てると網膜が損傷して失明する」という話。果たしてこの話は事実なのだろうか?そもそもこの話の出元はどこなのか。疑問に感じたので調べられる範囲で調べてみた。


    都市伝説のはじまり


    まず噂の初出として、フラッシュそのものが目に悪いのではないかという先入観が「フラッシュの光で失明する」という都市伝説を生んでいたことに注目したい。

    赤ちゃんにフラッシュを浴びせて失明が心配です
    http://www7a.biglobe.ne.jp/~hospital/qa3/qa0265.html


    Googleで検索すると赤ん坊や動物にフラッシュを当てて失明しないかと心配する人の文章がいくつも確認できる。上記のサイトを含め、赤ちゃんに関しては問題ないという専門家の意見が大半。中国では、赤ちゃんがフラッシュで失明したという嘘ニュースを掲載して炎上するという事件があった。きっとこの手の話はカメラが生まれてからずっと付きまとっていることなのだろう。実際にフラッシュで失明するなら世界中の新生児が失明しててもおかしくない。

    まずは出典探し



    人間は大丈夫だとしても、問題は猫だ。猫の目は人間よりもずっと明るく見えるため、フラッシュの光が増幅されて危険というのが失明を主張する人の理屈らしい。

    夜でもよく見えるネコの眼は非常に敏感で、ライトなどの強烈な光に弱いので、嫌がったりストレスを与えたり、目を痛めてしまう可能性があることが指摘されており、プロカメラマンは猫の撮影の際にはフラッシュを控えるか、外付フラッシュで猫ではなく天井にむけて光らせる等の方法を薦めている

    猫 - Wikipedia



    2017年6月現在、Wikipediaには失明とまでは書かれていない。が、過去には失明に関する記述があった時期がある。

    夜でもよく見えるネコの眼は非常に敏感で、ライトなどの強烈な光に弱く、真っ暗闇で突然フラッシュ撮影をしたりすると、目を痛めてしまう可能性があり、まれに失明に至ることもある。

    猫 2016年7月22日 (金) 13:08の版 - Wikipedia



    だがこの編集は出典に問題があるとして翌日削除された。

    2016年7月23日 (土) 07:41‎ ロフト00 (会話 | 投稿記録)‎
    (102,676バイト) (-1,106)‎ . . (→‎眼・視覚: 引用元のサイトにおいて、その情報源はこの記事のその引用された部分であるという情報のループした状態であり、正確性に著しくかけた物であると判断できたため編集)



    つまりWikipediaを出典にしているサイトをWikipediaの出典に使ったということ。そりゃあ削除されるに決まってる。

    さらに、現在「目を傷める」の出典として使われているURLも出典としては微妙なサイトに思える。

    真っ暗闇で突然フラッシュ撮影をしたりすると、目を痛めるようです。

    猫の目の不思議【動物まめ知識】


    具体的な症例は無し。

    カメラのフラッシュ程度の光であれば失明の可能性は低いと思われますが、一度動物病院で診て頂いた方が良いかもしれません。

    暗闇でカメラのフラッシュを向けてしまいました(リンク切れ) ミラー


    可能性は示唆しているがむしろ否定的。

    わずかな光でも強く感じてしまいます。明るい場所では瞳孔を細くして光の量を調整しています。暗い場所で写真撮影するときは、フラッシュは控えた方がよいかもしれません。

    (113)犬や猫の目が光る謎


    障害の可能性は明記せず

    フラッシュが猫に与える影響は「もしかしたら目を傷めるかも」という憶測に過ぎないようで、実際にフラッシュで失明したり障害を負ったという確かな症例は見つからない。

    猫の失明は本当にフラッシュが原因?


    確固たる根拠が無いにも関らず失明の噂が広がったのはなぜだろうか。時期的に考えると2010年、芦ノ牧温泉の初代猫駅長の失明が火元のように思える。

    ねこ駅長さんは撮影できますか?

    初代ねこ駅長のばすさんが、カメラのフラッシュ撮影で目が見えなくなってしまいました。その為、動画を含むすべての撮影を禁止しております。御理解のほどよろしくお願い致します。

    ねこ駅長 - http://ashinomakionseneki.com/neko.html



    猫駅長の「ばす」は2010年3月頃失明したらしい。関係者はその原因をフラッシュであると表明し、あわせて撮影禁止となったそうだ。これが話題になりインターネット上で「猫がフラッシュで失明する」という噂が急速に広がったと思われる。

    だがこの話には信憑性に難がある。そもそも、ばすの失明が公表された時点で推定12歳と高齢であったし、もともと野良猫で失明のリスクが高い飼育状況であったことは明らかだ。(ペットとして不適切である野外飼育が行われている猫を野良猫と呼ぶとして)行動範囲、食事内容、健康管理などが不明瞭であったのに、フラッシュが原因と断定したことには疑問が残る。

    そこで獣医の意見を仰げることを期待して芦ノ牧温泉駅を守る会に直接問い合わせてみたが、一週間経っても返答は無い。まあ彼らはビジネスでやってるのだから素朴な疑問に答えるほど暇ではないのだろう。

    (あまりこういう話に憶測を混ぜたくはないが…動画の撮影まで一律に禁止してるのを見ると本当は猫の目に気遣ってるわけではなく、ビジネスの一環として猫駅長の撮影権を制限することが目的だったようにも思える)


    もうひとつ実際に猫がフラッシュで失明したという話が2016年に出て来る。

    フラッシュで失明?猫の撮影に注意を呼びかけるツイートが話題に
    https://irorio.jp/kaseisana/20160720/336890/


    敷地内に入ってきた観光客が猫にフラッシュ撮影し、結果的に猫が失明したという話がTwitterに投稿された。フラッシュ撮影された猫は額を拭う様な動きをしていたため動物病院に連れて行った結果、目が悪くなっていたことが判明したらしい。

    だが、これも野良猫のようだ。普段から野外で飼育されていて、どこで何を食べているかも正確にはわからない。さらにその後「フラッシュで失明はありえない」という指摘を受けて獣医の意見を仰いだ結果「それだけが原因かどうかはわからない、あり得るが絶対にとは言い切れない」というのが獣医の見解だったという。これでフラッシュが原因と断定するのは無理がある。この話も獣医の診断ではなく、このツイート主の憶測でしかなかったようだ。


    専門家の見解を探す



    上記のツイートが話題になった結果、獣医が噂を否定する記事が登場した。

    1回のフラッシュで失明してしまうのか? 小林院長の答えは「考えにくいです」。

    動物病院でも病気になった犬や猫の目を検査するために、フラッシュを当てて検査をしていますが、特にトラブルにはならないそうです。

    「1回のフラッシュぐらいで、目に深刻なダメージを与えることはまずないと言えるでしょう」

    ただし、強い光の場合、網膜の障害のほかに、たとえば痙攣(けいれん)発作を引き起こす可能性もあります。




    猫、フラッシュ撮影で失明するの? 獣医師「けいれんの可能性も…」



    このように、フラッシュによる失明は明確に否定されている。強い光で網膜障害の可能性という記述はあるが「目に強い光を長時間照射すると網膜に障害が出るということは、犬を含む多くの動物で報告されています」(小林義崇院長)と書かれていることからも、目に悪影響を与えるのはフラッシュではなく長時間の露光などであることがわかる。もっとも、フラッシュが目に良いはずもないので獣医としては「やめたほうがいい」と答えるしかないだろう。

    この記事で貴重な専門家の意見が得られたが、もう少し見解は多いほうがいい。

    「よこはま動物園ズーラシア」にこのような看板があることがわかった。




    人間もフラッシュを見ると目が眩んでしまうことがあります。そんなフラッシュをネコたちに当てると、強烈な光を調整できず、目の機能が破壊されることがあります。また、暗闇でフラッシュを使うと、失明の危険すらあります。



    ネコ科動物がフラッシュで失明することがあると明記されている。これは他のネット記事やTwitterと違い、動物園という専門性の高い施設での記述であるため明確なソースの存在が期待できた。そこで直接問い合わせてみることに。

    問い合わせで得たかった情報は「どのような研究や論文を引用しているのか、過去にフラッシュが原因で失明したネコ科動物がいるのか」の2つ。その結果得られた回答が、これ。

    この度はよこはま動物園ズーラシアへお問い合わせいただきありがとうございます。

    ご指摘いただきました「KEEPER'VOICE」につきましては、職員の知見により作成しており、特定の文献を引用、もしくは参照しているものではありません。そのため出典を併記することは難しいと考えております。
    記述の内容につきましては、今後作成する際にお客様のご意見を参考とさせていただきます。

    公益財団法人横浜市緑の協会
    よこはま動物園 副園長 渡辺 武志



    動物園すらも他のネット記事と同じで噂をもとにしているに過ぎないようだ。結局振り出しに戻ってしまった。

    国内では根拠あるソースが見つかりそうにないため英語ソースを探すことにした。その結果ちょうどいい記事を見つけることができた。

    「フラッシュ撮影は動物を傷つけるか?」
    https://www.naturettl.com/does-flash-photography-harm-animals/


    これを書いたのは野生動物写真家のウィル・ニコールズ。実際に野生動物に対するフラッシュ撮影を行った経験に加え、具体的な出典を基にした分析は信用に値する。全編に渡ってほぼ都市伝説の答えに近い内容が掲載されているが、ここでは網膜へのダメージに重点を置いているためMartin Stevens博士の見解を引用させてもらう。

    “It depends on the species, no doubt, but pretty much all birds at night will have their photoreceptors adapted to dark conditions and hence be very sensitive to bright lights and potentially temporarily blinded by sudden bright light sources,” said Dr. Stevens.“However, the death of an animal is very unlikely from the flash itself.” This brings concerns that flash could hinder the ability of nocturnal birds to hunt successfully.

    種にもよるが、確かに鳥類のほとんどは夜間の暗い環境に適応した光受容体を持ち、強い光に対して非常に敏感であるため突然の強い光によって一時的に盲目的になる可能性がある。しかし、フラッシュそのものによる動物の死はまず起きないだろう。とMartin Stevens博士は語る。ここでフラッシュが夜行性の鳥の狩りを妨害する可能性を示唆している。


    野生動物という趣旨からして死は失明も含んでいると思われる。

    It is also worth noting that flashguns produce a diffused light beam and not a highly focused beam, such as with a laser. In fact, the use of strobe lighting to test for retinal disease is commonplace. It is true that the use of flash does not result in permanent damage to the eye.

    また、フラッシュガンは光を拡散させるものであり、レーザーのような高度に集光された光を発射するものではないことにも注目したい。実際、網膜疾患の検査にはストロボライトを使用することが一般的だ。フラッシュを使用しても目に永久的なダメージを与えないことは事実である。



    このようにフラッシュによる失明は否定されている。しかし今回の論点はネコ科の目だ。人間を含めた広義の動物に対する影響という論点では猫がフラッシュで失明するという話を否定するには不十分。この記事でもフラッシュで動物が失明するという研究結果は引用されていない。記者は「動物の目に関する研究自体が少ない」と語っているため、フラッシュで動物が失明するかどうか調べた研究は存在しない可能性高い。

    むしろ、この記事で一番本質に近いのはこの記述かもしれない。

    Yet as soon as you mention flash and animals in the same sentence, you're probably going to be met with lots of comments about it being 'unethical' or 'harmful'. But these comments are often speculation, born from a passion for wildlife rather than based on an actual understanding of an animal's physiology. As both a photographer and zoologist, this makes me realise there is a definite lack of understanding.

    あなたが同じ文章でフラッシュと動物について触れると、すぐに大量の「非倫理的」や「有害だ」といったコメントに出会うことでしょう。しかしこれらのコメントは大抵憶測で、正しい理解や動物生理学に基いたものではなく野生動物に対する情熱により生まれるものです。写真家であり動物学者という身から、これらに明確な理解不足があると思い至りました。



    これの後に、さきほどのズーラシアの看板をツイートした人物のリプライを読むとあまりの一致に正直笑ってしまう。




    信じるか信じないかはあなた次第



    まとめると。
    「フラッシュで失明する動物が確認されたことはない。しかしほとんど研究されていないので獣医は猫がフラッシュで失明することを否定できない」

    科学的な思考を尊重している人には言うまでも無いことだが、科学というのは常に仮説の検証に基いている。この場合失明の仮説を実証・反証するには実験や観測を行う必要がある。反証されるまでUFOに宇宙人が乗ってるかもしれないし、死後の世界だってあるかもしれないのと同じだ。猫のフラッシュ失明は現時点でこういった仮説でしかない。だが100%が無いのも科学だ。今までフラッシュで失明した猫がいなくても、明日は現れるかもしれない。

    少なくとも答えが出ていない現時点では説を信じるのも自由だし、信じずにフラッシュ撮影し続けるもの個人の自由だ。「私の家の猫を撮る時はフラッシュ焚かないでね」とは飼い主の権利として言えるし「私は夜の野良猫をフラッシュ焚いて確実に撮りたい」と言う人は好きにすればいい。決してどちらが偉いなんてことはない。大事なのは自分の思想を押し付けないことだ。

    しかし現実には押し行ける人の多いこと。この記事を書く一月前にマグロがフラッシュ撮影のせいで死んだというデマが拡散された。この話がデマと広く知られるまで、フラッシュ撮影者に対する罵詈雑言が投稿されいたことが上の記事からも確認できる。同様に猫がフラッシュで失明したというツイートにも、撮影者に対する憎悪にも取れるリプライが多数確認できる。もしこれを放置して「猫にフラッシュは悪」という意識が広まったら何が起きるだろうか?

    動物愛護というのは基本的に押し付けの精神に基いているのも事実。動物愛護法自体科学とは無関係の感情によって作られた物だし、このフラッシュ失明説も広がりを見せれば法律で禁止されたりするのだろうか。



    最後に、ひとつ。
    フラッシュが動物に与えるストレスに関しては今回扱わなかったが、上記の「フラッシュ撮影は動物を傷つけるか?」の記事で詳しい考察が行われているので気になる人は読んでみることを薦める。
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    ディズニーなどの海外アニメが好き。特にバルトが大好き。本当に犬しか見てないわけではないけど動物キャラが好き

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