アニメの「バルト」はどこまで本当なのか : アニメで犬ばかり見てるアニメで犬ばかり見てる

    アニメの「バルト」はどこまで本当なのか

    • 2011/07/14
    Balto.jpg

    1995年に公開されたスピルバーグ版のバルトは実話を基に作られたと宣伝されてきました。もちろんそれは間違っていませんし、バルトという犬が実在したのもニューヨークのセントラルパークにバルトの銅像があるのも事実です。

    ではアニメのバルトはどこまでが本当でどこまでが脚色なのでしょうか?犬は話さないとかオーロラ作ったりしないって話ではなくストーリーについてのことです。
    そこでアニメ版と比較しながら実話のバルトについてまとめてみました。

    脚色は悪いことではないと思いますし、実在のバルトとの違いを知っていればアニメのバルトをもっと楽しめると思います。


    バルトは狼犬ではなかった


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    このアニメ最大の脚色部分はバルトが狼犬であるということ。それ以外にも多くの脚色があるので史実のバルトについて書いておきます。

    1919年生まれ(正確な年は不明。血清リレーの時点で6才だったと言われている。)シベリアンハスキーのオスで濃い茶色の体毛に橇犬らしい短い手足。下顎と胸に薄い色の毛があり、白い靴下を履いているような特徴的な前足をしていた。

    飼い主はギュンナー・カッソン(Gunnar Kaasen)。バルトは野良犬ではなかったし橇犬として働いていた。バルトはほかの橇犬(そりいぬ)より足が遅かったこともあり第一線の犬橇(いぬぞり)チームには入っておらず短距離輸送用の犬橇チームの一員でしかなかった。しかし1925年の血清リレーの日、カッソンはバルトをリーダー犬として採用する。吹き荒れる嵐にバルトの力強さと堅実さを賭けたそうだ。アニメでは脚色で「速い犬」が重視されているが、実際の犬橇では速い犬よりも結束力や判断力が重視されるため、ただ速いだけで犬橇チームに参加する理由にはなり得ない。

    アニメのバルトは続編でジェナとの間に子供を儲けているが、実際のバルトは生後6ヶ月で去勢されたため子孫は存在しない。橇犬は優秀な素質のある個体だけが子孫を残すことが許されていたため、その素質が見られなかったバルトは若年で去勢された。

    ちなみに1925年当時はまだシベリアンハスキーという血統は認められていなかったためバルトは「雑種」でもあったといえる。






    薬を運んだチームは1つではない


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    アニメではスティールのチームが1085キロに及ぶ全トレイルを走り抜けたかのように描かれているが、実際はそうではない。血清は20チームのマッシャーと総勢150頭の犬橇のリレーによって運ばれた。その中でカッソン率いるバルトのチームがブラフ~ノーム間の最後の行程53マイル(85キロ)を走り抜けノームに到着した。そもそも1つのチームがぶっ通しで吹雪のアラスカを1000キロ(東京~鹿児島間)走り抜けるのは無理がある。

    ちなみに史実のバルトのチームは全部で13頭。アニメのソリは7頭と少し簡略化されている。

    また、薬を入れる箱もアニメで描かれているような単純な仕組みではなく防寒用の布などで厳重に包装されていた。薬を取り出す演出や氷の洞窟で薬が落ちる演出のために簡略化されたのだろう。




    もう1つの血清リレーがあった

    最初のリレーで運ばれた血清30万単位(約10人分)だけではおそらくジフテリアを一掃できず、すぐに新たな血清が必要なのは明らかであった。
    そこで最初のリレーから6日経った2月8日には次の血清がネナナを犬橇で出発した。
    このとき新たな血清110万単位(約40人分)が供給されていたが、半分は航空機に積載されたため犬橇に乗せられたのはその半分。しかし航空機は離陸に失敗したため血清をノームに届けたのは犬橇チームのみであった。

    1週間後の2月15日に2つ目の血清もノームに到着する。



    飛行機で薬を運べなかった本当の理由

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    アニメでは「嵐で飛行機は離陸できない」というのが飛行機が使用出来ない理由であった。
    しかし実際はもう少し複雑な事情が存在する。
    1925年当時、まだアラスカには商業用航空路線が開拓されておらず、新たな航空事業展開を狙うフェアバンクス航空という会社が存在した。1924年にはアラスカでの初の郵便飛行が成功したこともあり、航路開拓を求める宣伝に血清の輸送がうってつけだったのだろう。しかし当時の航空技術はまだ未熟で極寒のアラスカ上空を安全に飛行できる保障は無く、輸送できる血清にも数に限りがあったため事故を起こした場合のリスクを考慮すると航空機の信頼性は犬橇よりも低かった。
    実際、使用が予定されていた「アンカレジ」はエンジンの耐用年数の半分を過ぎていたし、積載燃料も少ないためノームまでの無給油飛行が出来ず飛行には危険が伴う。
    そのためアラスカの「ボーン知事」はフェアバンクス航空の飛行要請を「どんな絶望的な状況であってもアンカレジの使用は回避すべし」と頑なに拒否し続けた。
    しかもパイロットはアラスカ極地に対する知識が浅く、「不時着したら歩いて血清を運ぶ」など、ボーン知事に入る情報だけでも航空機での輸送が不可能だと判断するには十分だったのだろう。

    結果、一回目の血清リレーでは航空機が使用されることは無かった。

    2月8日、二回目の血清リレーではようやくボーン知事から飛行許可が下りる。
    しかしこの時離陸に失敗、ラジエーターの部品を破損してしまう。
    翌日再び離陸を試みるが冷却水の不具合でまたしても離陸に失敗。
    さらにその翌日また離陸を試みたがそれでも離陸に失敗。
    嵐に呑まれるまでもなく、航空機は血清の輸送を断念することになった。

    Repository: The Cruelest Miles



    船で血清を運べなかった理由

    これは本当に流氷が航路を塞いでいたため。
    毎年11月から翌年6月までノームの港は完全に凍結し入港が不可能になる。血清リレーが行われた1月のベーリング海はまさに氷に閉ざされていた。



    続き
    「アニメの「バルト」はどこまで本当なのか その2」
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    Author:MASA
    ディズニーなどの海外アニメが好き。特にバルトが大好き。本当に犬しか見てないわけではないけど動物キャラが好き

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